約 349,531 件
https://w.atwiki.jp/kamikaze4u/pages/166.html
甚目寺禅次郎、鬼ケ原空、祠堂統、桐石登也の四人は和風庭園にやってきた。 「庭園、真っ暗で何も見えないな。…どうする?」 「…職員室で懐中電灯でも借りてくるか?」 「ん?お前たち、七不思議を調べてるやつらか?まだ居たのか。」 庭園にやってくるも、暗くて探索どころじゃないと空と祠堂が話しているところにレインコートを着た兼田が現れた。 どうやら傍の倉庫で後片付けを済ませ、帰ろうとしているところ貴方たちの声に気づき寄って来たらしい。 「この霧が前にも庭園で発生したと聞いて調べにきたんですけど、暗くて…あ、兼田さん、懐中電灯なんて借りれます?」 そう空がいうと、兼田は「ちょっと待ってろ」と言って倉庫から懐中電灯を二つ持ってきてくれた。 「助かります、ありがとうございます。で、どうします?」 「とりあえず、…懐中電灯は二つだから探索は任せていいか? 俺らは兼田さんから聞ける話はきいておくよ。」 祠堂の言葉に登也がいうと、空と祠堂は懐中電灯で照らしながら和風庭園内を手分けしてくまなく探索し始めた。 「なぁ先輩達、コレみたのかな?」 「んー、なんか言ってたっけ?しかしホント…不気味だなぁ…」 二人は木の根元の桜を見つけるとどことなく気分の悪さを感じながら呟いた後、池の中を覗いてみたり木の上を眺めてみたり…徹底的に調べるが、他には特に変わったところは見つからなかった。 ◆◇ 登也と禅次郎は兼田の傍に残り、少しでも情報を聞き出そうとする。 「他の人から兼田さんがこの霧について知ってると聞いたのですが…よかったら詳しく教えていただけませんか?」 「ん?ああ、だが俺が知ってることなんてたかが知れてるぞ?」 「…なんでも構わないんです。 この霧で魔素を感じなくなったんですが、他にも何か影響があるのか…と、 以前に霧が発生した時の状況とか、理由とか…霧の消し方が分かれば一番なんですが。」 禅次郎が補足するように具体的な疑問をあげていくと、兼田がうーんと顎元に触れながら小さくうなっていたが最後の言葉に「ああ」と小さく漏らす。 「それなら、問題ねぇ。もうじき…晴れるだろうよ。 さっき思い出したんだが、前に見たのは10年前の夏だった。 あの桜の木の下でモヤモヤと影みたいに霧が揺らいでたんだ。 その時は一応教師に報告したが月がてっぺんから降りる頃にはきえてたんだ。 …あの時と同じなら恐らく自然に消えるだろう。」 「自然に…ですか。」 少し不安は残るものの、他に術のない禅次郎はただ呟き、空を眺めるだけだった。 雨と霧で月の影すら見えない空を…… 禅次郎は栄養ドリンクを飲んで体力が全快した!
https://w.atwiki.jp/kamikaze4u/pages/64.html
【6】静かなる不穏(漣港) 【7】静かなる不穏(番場佑の家) 【8】静かなる不穏(三段岬) 【9】静かなる不穏(雑貨屋タイショー) 【2】碧海の海(海底遺跡海上~煌々の道) 【0】邪神ランマー 戻る
https://w.atwiki.jp/kamikaze4u/pages/104.html
白神凪ストーリー内容 第一話
https://w.atwiki.jp/kamikaze4u/pages/134.html
名前 HP増減 獲得P 柳茜 HP±0 1885P 桜木有布 HP±0 1875P 天瀬麻衣 HP±0 1875P 藤八沙耶 HP-65 1895P 志島武生 HP-108 1790P 祠堂統 HP±0 1790P 夢崎麻也 HP-280 1790P 板垣勝猛 HP-177 1790P 鬼ヶ原空 HP±0 1775P 烏月揚羽 HP-219 1790P 六角屋灼 HP-144 1810P 東雲直 HP-130 1820P 月宮香蓮 HP-130 1820P 鎮守由衞 HP-140 1790P 行成ハナ HP±0 1790P 深海将己 HP-252 1865P 幸村カヤ HP±0 1865P 日浦博喜 HP-116 1865P 向坂維胡琉 HP-234 1840P 白神凪 HP-147 1840P 福良練 HP-150 1885P 甚目寺禅次郎 HP-140 1875P 桐石登也 HP±0 1875P ◆幸村、日浦、深海 ◎依頼達成ポイント:+150P ◎チェックポイントにて調査を完了する:+15P ◆甚目寺、福良、桐石 ◎依頼達成ポイント:+200P ◆福良 ◎噂のヒントを発見:+10P ◆行成、鎮守 ◎チェックポイントにて調査を完了する:+15P ◆夢崎、祠堂、板垣、志島 ◎チェックポイントにて調査を完了する:+15P ◆白神、向坂 ◎チェックポイントにて調査を完了する:+15P ◎依頼達成ポイント:+100P ◆烏月、六角屋 ◎チェックポイントにて調査を完了する:+15P ◆六角屋 ◎噂のヒントを発見:+20P ◆月宮、東雲 ◎チェックポイントにて調査を完了する:+15P ◎七不思議の新たな情報を入手する:+30P ◆天瀬、柳、桜木、藤八 ◎依頼達成ポイント:+200P(50P×4人) ◆藤八 ◎シークレット【紫の霧】ヒントを発見:+20P ◆柳 ◎噂のヒントを発見:+10P ◆イベント参加者全員に配分 ◎噂を一つ完成させる:+50P×6 ◎噂の真偽を確認する:+100P×7 ◎暴れ出した部長を止めてⅡ(達成メンバー以外):+100P ◎急がし用務員(達成メンバー以外):+75P ◎急がし用務員Ⅱ:+100P ◎急がし用務員Ⅲ(達成メンバー以外):+100P ◎痴漢騒動?(達成メンバー以外):+50P ◎第二アクションまで噂を6つ以上完成させる(シークレット):+50P
https://w.atwiki.jp/kamikaze4u/pages/121.html
白神凪、行成ハナ、深海将己は屋上にやってきた。 扉を開けた正面のベンチの下にしゃがみこんでいた一人の少女を見つけると、まず凪が近づいていく。 「水島さん、、ですか?」 その声に気づくと少女は立ち上がり貴方たちを見つけて、静かに頭を下げた。 彼女が水島七恵でまちがいないようだ。 「・・・えっと、探すのを手伝ってくれる方ですか?」 七恵はしばらくなくし物を一人で探していたのか、疲れた様子ながら微笑み首を僅かに傾ける。 「そうで、、あっ、えっと行成ハナです!探し物のお手伝いにきました!」 元気よく声を響かせるハナの紹介に合わせ、凪と深海も簡単に挨拶をし頭を下げた。 「…で、どんなピアス? 落としたのが片方だけなら、もう片方見せて欲しいんだけど?」 深海が自分の耳をトントンと指で叩きながら聞くと、 七恵はハッとしたようにポケットからハンカチに包まれたピアスを取りだし、指につまんで見せた。 金の細い金具の先に、ピンクの貝殻が花びら型に切り取られたごく小さなモチーフがゆらゆらと揺れている。 小指の爪ほどのそれは、一人で探すのは困難だろう。 凪が僅かに息を吐きながら口を開く 「……どのあたりで落としたか、記憶にはないんですか?」 すると七恵は申し訳なさそうに眉を下げながらも、屋上を見渡した。 「たしか、このベンチでお昼を食べて、フェンスのあそこからあそこまで友達と景色を見たりしてました。それで屋上から出るときにピアスが片方ないことに気がついて…。 一緒にいた友達にもらった大事なピアスなので、失くした事を知られたくないしずっと一人で探していたんです。」 「思ったよりも範囲が広いな…」 「…そうですねー、、でっ、でもでも!皆で探せばきっと見つかるのです! 皆で一緒に頑張りましょう!」 「そうだな、心配ないですよ、必ず見つけますから。」 面倒くさそうに髪をかきあげながら、広い屋上を眺める深海に対し両手でぐっと拳を握りつつ明るく気合いをいれるハナ、そして七恵の肩に優しく手を乗せる凪は日が傾く前に、と手分けしてピアスを探し始めるのだった…。 ◆◇ それから一時間ほど経ったろうか… 「あっ!ありましたっ!!!!これ、これですよね!?」 紫の空が夕日でさらに不気味に赤く染め上げられた頃、コンクリートの地面にはいつくばっていたハナが飛び上がるように体を起こすと指でつまんで持ち上げてみせる。 夕日に照らされきらきらと光る桜の花びらを見て、七恵は安堵の笑みを浮かべながらそれを受け取った。 「暗くなる前に見つかってよかったな。 ところで、あんた、美術部の中谷彩について…でなくてもいいんだが、七不思議についてなんか知ってるか?」 「…中谷さん、、ああ、あの噂の…すみません、詳しくは知らないです。 ただ、噂で七不思議の被害にあった、とかいうのは文学部の間では有名ですね。 …友達が同じ美術部らしいんですけど、中谷さん本人も記憶がはっきりしないとか…。 …あの、もし美術部にいくようでしたら、私も一緒に探索に参加してもいいですか? 実は私、小説とか読むのも書くのも好きなので、七不思議の噂気になってたんです。」 こうして思いがけない仲間を加え、貴方たちは霧深い屋上を後にするのだった・・・ 依頼【大事な落し物】達成! 噂【みゆきちゃんの傘】のヒントを得ました。 【美術部室】へ行けるようになりました。 【水島七恵】が探索に加わりました。 戻る
https://w.atwiki.jp/kamikaze4u/pages/173.html
【2】漣島 【5】碧海の海(神殿) 【7】碧海の海(神殿最奥) 【エピローグ】 戻る
https://w.atwiki.jp/kamikaze4u/pages/98.html
向坂維胡琉ストーリー内容 第一話
https://w.atwiki.jp/kamikaze4u/pages/184.html
8月18日、午後21時10分。 「ぴえぇぇ!なに、なに!?なんなのっ!?」 カサカサと動く何かに、慌てふためく行成ハナ。 だが、彼女はふと自分の特殊技を思い出した。 カレイドスコープにより、この部屋を暗視したのだ。 すると、何かの拷問部屋と思わせるような道具がたくさんおかれているこの部屋の中に、床を這いまわる上半身だけの人間らしきものが蠢いていた。 「ふぇぇ……!見なきゃよかったよぅ~!」 半泣きしながら、急いで扉へ向かい部屋を出るハナ。 すると、上半身は追って来ないようで、一先ず安心といったところか。 どこかわからない、謎の通路を歩いていくハナ。 一本道だが、かなり長い。 はたしてこんな建物があの近くにあっただろうかと疑わしいくらい、果てが見えないくらい先へ続いている通路。 歩いても歩いても、先が見えない。 いや、先はずっと通路が続いているのだ。 「無限るーぷ……?お目目さんっ!」 ハナが奥義サードアイズを発動しようとすると、彼女の顔に息がかかる。 ぼぼっぼぼぼぼぼっぼ。 「~~~!?」 泣きながら全速力で前へと走るハナ。 今後ろに、背後に誰かいた。 しかも、ほぼ密着する形で。 ぼぼぼ……。 謎の音も小さくなっていくのを確認し、後ろを振り返る。 すると、何もいなかった。 安堵をしながらサードアイズを今度こそ発動して、辺りを見渡す。 すると壁だった場所の一部が、階段になっていた。 そこを上がり、上へ上へと進んでいくハナ。 ぼぼぼ……。 下ではまだ、ハナを探しているのか、あの音が小さくだが聞こえる。 そして、今度は上がっても上がっても終わりが見えない。 今度はサードアイズにも何も感知することができないため、普通に長い螺旋階段と思っていいのだろうか。 その時だった。 電話が鳴る音にビクついたハナだったが、それが藤八沙耶だと気が付くと電話に出た。 『ハナさん、無事でしたか?』 「沙耶先輩~!えへへ、無事ですよ!」 『それは何よりですね!こちらで色々調べたので、報告しておきます。隣に、練さんと祠堂くんもいるので、後で代わりますね』 沙耶達が調べた内容は、下記の通り。 『・この時計塔が設立されたのは、大陸歴1525年とかなり古い。 ・その反面、教会は1900年と、かなり後から教会が建てられたらしい。 ……それと、鈴鳴様というものを祀っていたようですね。それについては、まだ調べていませんが……。あ、祠堂くんに代わりますね』 『俺が調べたのは二点。 1500年代~1800年代までは、この周辺で子供が失踪することが多かった。 1800年代後半、変態性癖を持つ殺人鬼の男が小さい子をさらって地下の拷問部屋で殺していた。 ……ちなみに、その殺人鬼はその後拷問部屋での行為がばれて処刑されたらしい。そのせいで慰霊碑的な意味で教会が建てられたそうだぜ。 後、俺の連絡先も教えとく。ここにいる他の奴には既に伝えたから、後は行成だな』 連絡先を祠堂統と交換した後、最後の福良練へと電話は代わった。 『ふぇぇん、はーちゃん無事でよかったよぅ……』 「ねりちゃん!心配かけてごめんね~っ!」 『もー、今度あったらぎゅっとするからっ……!』 「あ、わたしもわたしも!そういえばねー」 雑談が始まると、練の電話口の背後から咳払いが聞こえる。 練は慌てて要件を説明し始めた。 『えっとね、色々調べたかったんだけど、私が調べることができたのは次の事だけ。 鈴鳴様は子供が大好きな神様で、大和の五大伸の一つとも言われている。 五大神だってはーちゃん……!フェルゼちゃんも、五大神は知らないみたい』 「あ、だから男の子とか、昔も子供が神隠しにあうことが多かったn……あーっ!!」 『ど、どうしたの?はーちゃ』 「男の子だよ~!男の子!探さなきゃ!ごめんねねりちゃん、沙耶先輩に祠堂くんもっ!また落ち着いたら電話するねっ!」 そういって電話を切り、急いで螺旋階段を駆け上がるハナ。 やがて外の闇が見えてきて、終点が近いと察する。 ぼぼぼぼぼぼっぼぼぼぼっぼ。 再び、例の音も大きくなってくる。 びくっとはしたが、今は一気に駆け上がり、外に出たい。 そのため、振り返らずに時計塔の屋上へとあがった。 「わぁ……」 既に22時近い時計塔の最上階からの景色は綺麗なものだった。 粥満の都市が一望できるのだ。 ここら辺は暗いが、他の……中央広場辺りは、街灯のネオンが綺麗に光っている。 あの音も聞こえなくなっていた。 安心しきっていたハナは、まず男の子の姿を確認する。 ここには、残念ながら姿はなかった。 急いで時計塔の中へと戻ろうとした時、一羽の鳥がやってくる。 「あれ、カラスさん?こんな時間にどうしたの?」 そもそも鳥はその一羽だけで、ただ黒いからカラスと思ったが、どうも普通の鳥とは違う。 むしろ、魔力を持ったカラスなのは、サードアイズで一目瞭然だ。 鳥はピィと鳴くと、その場に足で掴んでいたエリクシルをハナの目の前に置いた。 「あれっ、これいいの?ありがとうカラスさん!」 目的を果たしたカラス?は、そのまま飛び去って行った。 ハナはエリクシルをお守り代わりに持つと、休憩終わりっと呟き、再度時計塔の内部へと戻って行った。 ☆☆☆ 8月18日、午後22時。 甚目寺禅次郎は一人、粥満の中央通りで人に声をかけたりして話を聞いていた。 しかし、時計塔や教会の噂で、これと言った有力な情報は得られなかった。 その時、沙耶からメールが来る。 ハナと無事コンタクトが取れた事、そしてハナに伝えた内容を禅次郎にも伝えてくれたのだ。 「五大神……司ちゃんが言ってた内容だと、粥満は女性、か。……もしかして、鈴鳴様と関係がある……?」 メールを見ながら、そう呟く。 そして、次にどう行動をするべきか、彼は考え始めたのだった。 ☆☆☆ ハナ…HP500/MP110/OP31/状態:普通
https://w.atwiki.jp/kamikaze4u/pages/257.html
茜は麻衣との電話の後、すぐに緋杭湖へと向かっていた。 幽霊の悪行、つまり怨念、怨念を払うといえば寺…単純ではあるものの行けばなにか対抗策が見つかるかもしれない、そう思ったのだ。 「すみません…――」 茜は事件について住職に説明し、遠方の麻衣の手助けができるよう、お経など電話越しに有効なものがないか尋ねたが、電話越しにお経を読んだところであまり効果はないといわれてしまう。 その代わり住職は魔除けの鏡、”破邪鏡”を貸してくれた。 此れならリカの力も跳ね返すことができるだろうという。 「……いや、確かに天瀬先輩は鏡を欲しがってたけど。コレどうやって届けたら…」 「あっかちーんっ!!」 「揚羽先輩。お疲れさまです。」 茜が悩まし気に鏡と睨めっこをしてると揚羽が両手を振りながら颯爽と現れる。 先ほどメールで鏡を手に入れたこと、それをどう届けるかで悩んでいることは既に伝えていた。 「おまたせー♪じゃあ、あたし届けてくるねっ!」 揚羽は意気揚々とそういうと、風の魔力を放出し始める。 「えーと、先輩?まさかとは思うんですけど…」 茜はすぐにその言葉の意味を理解すると、周囲に人気がないのを確認し止めることなく事の行く末を見守った。 結果、揚羽の風の魔力は茜の予想通りの形を創造し、大きな翼を広げ咆哮をあげた…そう、現れたのは風精”黄翼竜”だ。 「さぁっ、きぃちゃん!あたしを飛鳥軍の船まで連れてって!超ハイスピードでねっ!」 「…大丈夫ですかね、技力持ちます?途中でふっ飛ばされたりしません?」 「だいじょーぶっ!ポーションしこたま持ってきたし!こーして、手綱を…。」 そう言っていつもは背負っていないリュックを広げ、受け取った鏡も大事にしまい、さらにロープを竜に結びつけ強く握った。 「…それなら大丈夫ですかね…、頼みます。私も、船が捕まえられたら追いかけますんで。」 「おっけー、頼まれたっ!」 ぐっと親指を立てて笑うと、揚羽と黄翼竜は空高く飛び立っていく。 茜はそれを見上げ表情を緩めると、すぐにその足で葵の港へと向かっていった。 ☆☆ 「……どうにかして、此処を抜けなあかん…。」 麻衣は死体軍人達との真向勝負を避け、救護室に身を隠していた。 シュウと美澄の事を考えると、すぐにでも走って向かいたいところだが、死体軍人達は食堂からここまで麻衣を追い続け、既に扉の外をふさぐように立ちはだかり今にも戸を壊さんと激しく叩いていた。 「…いつまで、もつか。」 シュウのところにたどり着く前に自分が…と絶望感を覚えたその時…、 ―『剣技舞来ッ!』 聞き覚えのある、安心感のある声が耳に届く。 扉の向こうでは激しい破壊音、そして扉をたたく音が止む。 麻衣は恐る恐る、血塗れた扉の窓から僅かに見える廊下を覗いた。 「先輩……」 死体軍人達が廊下に倒れる中、一人立つ少女の姿…麻衣はその姿を目にした瞬間、思わず力が抜け、ずるずると扉の前に膝をついた。 「…マイティっ、そこに居るの?!…ねぇっ!!」 「…ああ、すみません…無事です。…先輩こそ、こんな場所に一人で?」 麻衣が声を発したと同時、ガラリと扉が開かれ揚羽の心配そうな顔が飛び込んでくる。 「来るよっ、どこだって!……っ。……っほらっ、ココはあたしに任せて!はやく!」 「…有難うございます。先輩、絶対無茶せんでくださいよ。」 麻衣は揚羽の手を借り立ち上がると、押し付けられるように受け取った鏡を見て、緩やかに目を細める。 揚羽一人を残すことに不安は感じずには居られないものの、彼女なら大丈夫と、自分に言い聞かせるように頷き第三デッキに走るのだった。 ☆☆☆ 「…いやー、ヤッばいなー。コレは死ぬかもしれねぇなー。」 狭いシャワー室に男二人。 ハハッ、と冗談めかしつつ笑いを零す美澄の横で、シュウは少し青ざめた顔で手当てを施していた。 美澄の左腕は肘から下がまるで酷い火傷のようにただれ、皮膚が剥がれ落ちている。 「冗談は止めてくださいよ。……でも、このままだと。」 間一髪か、という絶望感よりも麻衣はどうしているだろうか、という不安のほうがシュウの頭を埋め尽くしていた。 リカの能力は無機質を破壊することはできないが、リカは狂気に暴れ力をあちこちに放っていた。 「…シュウッ!!」 麻衣の声と共にキーンと耳をつんざく様な音が響く。 リカの力が鏡によって跳ね返された音だった。 「麻衣!?…っく…離してください、美澄さん!」 彼女の声にすぐにでも飛び出しそうになるシュウを、力強く掴み引き留める美澄。 勿論、いつもの彼らなら女一人を危険にさらすようなことはあり得ないが、確証はないが恐らく麻衣には手を出さない、そう思っていた。 シュウ達のいるシャワールームの扉を開けようと手を伸ばしていたリカは、たまたま跳ね返された光線が指先を掠め、手を離した。 ―『…オトコ…何処…オトコ…全テ憎イ…憎イ…憎イ‼‼‼‼‼‼』 「…シュウ、出てきたらあかんよ。 …大丈夫、リカさんはうちには、手ぇださへん……な、リカさん? お腹の赤ちゃんも、こんな事望んでへんよ?」 ―『……赤…チゃん…?』 再び暴れだそうとしていたリカの動きがぴたりと止まり、ほんの僅か、声音が落ち着いたように感じた。 麻衣はここに来る直前、何度目かの茜からのメールを目にしていた。 『柳です。ネットで新しい情報を入手しました。 これも噂でしかありませんが…リカ、はお腹に子供がいたんではないかということ。 しかも実兄からの暴行で受けた子供らしいです。最悪ですね。 それでも、子守唄を歌って大事そうにお腹を擦ってたのを考えると、大事にしてたんじゃないですかね。 船を捕まえました。今から向かいます。無事でいてください。』 そして、一か八か口にした『赤ちゃん』という言葉はリカの心に届いたようだった。 「……柳、お手柄やね……………っ……―~♪」 麻衣は大きく深呼吸をすると、僅かに染まる頬、小さく震える声で歌を歌い始める。 それは自分が唯一知っている子守唄だった。 「―…♪」 ―『……赤ちャン…私ノ……赤ちゃん……!』 すると、リカの憎悪はまるでその歌声と共に昇華されるように、みるみる薄れていく。 ―『私の大事な赤ちゃん……ゴメンね、ママが守ってあげられなくて………・・・・』 ―…… 正気を取り戻したリカは、涙を流しながら、愛おしそうに自らのお腹を抱きしめた。 そして、刹那、リカは光の粒となって砕け散り、天に召されるように空気に溶け込んでいった…。 「…リカさん……どうか、幸せになってください。」 「…麻衣っ!」 痺れを切らしたシュウが扉を蹴破り飛び出してくると、麻衣はハッと我に返りシュウの方へ視線を向けた。 「無事…やったんね。…よかった。」 「…こっちの台詞だよ。……いや、助けてくれて有難う。」 「……オーイ、俺も居るの、忘れてんじゃねーぞー。」 ★★★ こうして、リカは無事に成仏し、同時に数多くいた死体軍人たちは支配者がいなくなったことで動かなくなった。 残念ながら彼らが生き返ることはないが、リカの力から解放され弔うことが出来るようになったのが唯一の救いであっただろう。 そして、二ノ宮もまたその多くの軍人たちの中に発見されたという…。 美澄の腕は動くようになったものの、痛々しい傷跡は残ったままであるが、当人曰く「勲章」だという。 また、後日さらに深く調べられた情報では、リカは出雲の研究者の娘で元々不思議な力を持っていたこと、そのことで父や兄から酷い暴行を受け男の存在そのものを憎んでいたことが分かった。 最後に麻衣の子守唄と語りかけにより、愛を思い出し成仏することが出来たのだろうと住職は言った。 ―END―
https://w.atwiki.jp/kamikaze4u/pages/144.html
【依頼参加メンバー】月宮香蓮、幸村カヤ、福良練、鬼ヶ原空、柳茜、深海将己 深夜0時、茜の商店街。 人が多く煌びやかな繁華街とは違い、この時間の商店街はは既に閉店したお店が殆どで、シャッターが閉じられていた。 開いているのは、小さな立ち飲み屋だけだった。 商店街の中ほどにはストリートミュージシャンが路上ライブをしていた。 (残念ながら客が一人もいないようだった・・・) 依頼人【丸内時計】の丸内に話を聞いたところ、 二週間ほど前からほぼ毎日落書きがあり、脅すような言葉ばかりで店を閉めてしまった者も居る為何とかしてほしいということだった。 ”店を閉めないと燃やすぞ”や”閉めないと後悔するぞ”と書かれていたらしいが、立ち退きなどの話で揉めたことはなかったらしい。 商店街を見回りながら犯人を調べることとなった。 ◆◇ 主に飲み屋と、路上ライブのミュージシャンに聞き込みをし、【黒いニット帽】の男が浮上した。 商店街を見回りシャッターを調べていた深海が、黒いニット帽の男を発見する。 同時に聞き込みをしていたメンバーたちもその男に気づき動き出したところ、男に感付かれ逃走されそうになるが、 幸村の体を張った行動により無事足止め、確保にいたる。 福良の尋問であっさりと「金を受け取ってやった」と犯行を認めた男だったが、その場では往生際悪く嘘をついていたようだ。 取調べ後追記: 男は金で雇われたわけではなく数年前に宝石店に強盗に入り、盗んだ宝石を空き家だった店の床に隠したらしい。 二週間前に出所し、宝石を回収しようと思ったのだがどの店に隠したのか忘れてしまい、片っ端から調べる為に悪質な不動産業者に、立ち退きを提案し脅し役を買って出たという。 宝石は無事に発見。宝石店に返却済。 不動産業者には過剰な行動に加担したことを通告。厳重注意とした。 強盗犯は再度拘束となる。